1. 問題の所在
他人から依頼を受けて報酬を得て家系図作成・先祖調査目的での戸籍の代理請求をすることを合法と誤解している人がいる。なぜそれが違法かをここで明らかにする。
2. 法令及び判例
(1) 戸籍法
第十条 戸籍に記載されている者(その戸籍から除かれた者(その者に係る全部の記載が市町村長の過誤によつてされたものであつて、当該記載が第二十四条第二項の規定によつて訂正された場合におけるその者を除く。)を含む。)又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)の交付の請求をすることができる。
② 市町村長は、前項の請求が不当な目的によることが明らかなときは、これを拒むことができる。
③ 第一項の請求をしようとする者は、郵便その他の法務省令で定める方法により、戸籍謄本等の送付を求めることができる。
第十条の二 前条第一項に規定する者以外の者は、次の各号に掲げる場合に限り、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、それぞれ当該各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。
一 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合 権利又は義務の発生原因及び内容並びに当該権利を行使し、又は当該義務を履行するために戸籍の記載事項の確認を必要とする理由
二 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合 戸籍謄本等を提出すべき国又は地方公共団体の機関及び当該機関への提出を必要とする理由
三 前二号に掲げる場合のほか、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合 戸籍の記載事項の利用の目的及び方法並びにその利用を必要とする事由
② 前項の規定にかかわらず、国又は地方公共団体の機関は、法令の定める事務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求の任に当たる権限を有する職員は、その官職、当該事務の種類及び根拠となる法令の条項並びに戸籍の記載事項の利用の目的を明らかにしてこれをしなければならない。
③ 第一項の規定にかかわらず、弁護士(弁護士法人及び弁護士・外国法事務弁護士共同法人を含む。次項において同じ。)、司法書士(司法書士法人を含む。次項において同じ。)、土地家屋調査士(土地家屋調査士法人を含む。次項において同じ。)、税理士(税理士法人を含む。次項において同じ。)、社会保険労務士(社会保険労務士法人を含む。次項において同じ。)、弁理士(弁理士法人を含む。次項において同じ。)、海事代理士又は行政書士(行政書士法人を含む。)は、受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、その有する資格、当該業務の種類、当該事件又は事務の依頼者の氏名又は名称及び当該依頼者についての第一項各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。
④ 第一項及び前項の規定にかかわらず、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士又は弁理士は、受任している事件について次に掲げる業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、その有する資格、当該事件の種類、その業務として代理し又は代理しようとする手続及び戸籍の記載事項の利用の目的を明らかにしてこれをしなければならない。
一 弁護士にあつては、裁判手続又は裁判外における民事上若しくは行政上の紛争処理の手続についての代理業務(弁護士法人については弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第三十条の六第一項各号に規定する代理業務を除き、弁護士・外国法事務弁護士共同法人については外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律(昭和六十一年法律第六十六号)第八十条第一項において準用する弁護士法第三十条の六第一項各号に規定する代理業務を除く。)
二 司法書士にあつては、司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)第三条第一項第三号及び第六号から第八号までに規定する代理業務(同項第七号及び第八号に規定する相談業務並びに司法書士法人については同項第六号に規定する代理業務を除く。)
三 土地家屋調査士にあつては、土地家屋調査士法(昭和二十五年法律第二百二十八号)第三条第一項第二号に規定する審査請求の手続についての代理業務並びに同項第四号及び第七号に規定する代理業務
四 税理士にあつては、税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第二条第一項第一号に規定する不服申立て及びこれに関する主張又は陳述についての代理業務
五 社会保険労務士にあつては、社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)第二条第一項第一号の三に規定する審査請求及び再審査請求並びにこれらに係る行政機関等の調査又は処分に関し当該行政機関等に対してする主張又は陳述についての代理業務並びに同項第一号の四から第一号の六までに規定する代理業務(同条第三項第一号に規定する相談業務を除く。)
六 弁理士にあつては、弁理士法(平成十二年法律第四十九号)第四条第一項に規定する特許庁における手続(不服申立てに限る。)、審査請求及び裁定に関する経済産業大臣に対する手続(裁定の取消しに限る。)についての代理業務、同条第二項第一号に規定する税関長又は財務大臣に対する手続(不服申立てに限る。)についての代理業務、同項第二号に規定する代理業務、同法第六条に規定する訴訟の手続についての代理業務並びに同法第六条の二第一項に規定する特定侵害訴訟の手続についての代理業務(弁理士法人については同法第六条に規定する訴訟の手続についての代理業務及び同項に規定する特定侵害訴訟の手続についての代理業務を除く。)
⑤ 第一項及び第三項の規定にかかわらず、弁護士は、刑事に関する事件における弁護人としての業務、少年の保護事件若しくは心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第三条に規定する処遇事件における付添人としての業務、逃亡犯罪人引渡審査請求事件における補佐人としての業務、人身保護法(昭和二十三年法律第百九十九号)第十四条第二項の規定により裁判所が選任した代理人としての業務、人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第十三条第二項及び第三項の規定により裁判長が選任した訴訟代理人としての業務又は民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三十五条第一項に規定する特別代理人としての業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、弁護士の資格、これらの業務の別及び戸籍の記載事項の利用の目的を明らかにしてこれをしなければならない。
⑥ 前条第三項の規定は、前各項の請求をしようとする者について準用する。
第百三十五条 偽りその他不正の手段により、第十条第一項若しくは第十条の二第一項から第五項までの規定による戸籍謄本等の交付、第十二条の二の規定による除籍謄本等の交付若しくは第百二十条第一項の規定による戸籍証明書若しくは除籍証明書の交付を受けた者、第百二十条の三第二項の規定による戸籍電子証明書提供用識別符号若しくは除籍電子証明書提供用識別符号の発行を受けた者又は同条第三項の規定による戸籍電子証明書若しくは除籍電子証明書の提供を受けた者は、三十万円以下の罰金に処する。
(2) 戸籍請求権者の類型
上記の戸籍法の規定により、戸籍を請求できる者は、大きくは下記4類型である:
(A) 戸籍に記載されている者(その戸籍から除かれた者(その者に係る全部の記載が市町村長の過誤によつてされたものであつて、当該記載が第二十四条第二項の規定によつて訂正された場合におけるその者を除く。)を含む。)又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属(戸籍法10条1項)
(B) 10条1項に規定する者以外の者で、次の各号に掲げる場合に該当する者(戸籍法10条の2第1項)
- 一 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合
- 二 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合
- 三 前二号に掲げる場合のほか、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合
(C) 弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士又は行政書士で、受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合(戸籍法10条の2第3項)
(D) 弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士又は弁理士で、受任している事件について特定の代理業務を遂行するために必要がある場合(戸籍法10条の2第4項各号)
(3) 各士業法の規定
依頼人が(A)に該当することは明らかだが、その依頼を受けた先祖調査業者は(B)・(D)に該当しないことは明らかであり、(C)については、各士業法上の業務に該当するかが問題となる。
各士業法は、それぞれ業務範囲を限定している。士業以外の者が有償で士業の独占業務を行うことは士業法違反となる(行政書士法1条の3第1項など)。
弁護士法
(弁護士の職務)
第三条 弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。
2 弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。
司法書士法
(業務)
第三条 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 登記又は供託に関する手続について代理すること。
二 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第四号において同じ。)を作成すること。ただし、同号に掲げる事務を除く。
三 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。
四 裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第六章第二節の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。第八号において同じ。)において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成すること。
五 前各号の事務について相談に応ずること。
六 簡易裁判所における次に掲げる手続について代理すること。ただし、上訴の提起(自ら代理人として手続に関与している事件の判決、決定又は命令に係るものを除く。)、再審及び強制執行に関する事項(ホに掲げる手続を除く。)については、代理することができない。
イ 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の規定による手続(ロに規定する手続及び訴えの提起前における証拠保全手続を除く。)であつて、訴訟の目的の価額が裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ロ 民事訴訟法第二百七十五条の規定による和解の手続又は同法第七編の規定による支払督促の手続であつて、請求の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ハ 民事訴訟法第二編第四章第七節の規定による訴えの提起前における証拠保全手続又は民事保全法(平成元年法律第九十一号)の規定による手続であつて、本案の訴訟の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ニ 民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)の規定による手続であつて、調停を求める事項の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ホ 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第二章第二節第四款第二目の規定による少額訴訟債権執行の手続であつて、請求の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
七 民事に関する紛争(簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象となるものに限る。)であつて紛争の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は仲裁事件の手続若しくは裁判外の和解について代理すること。
八 筆界特定の手続であつて対象土地(不動産登記法第百二十三条第三号に規定する対象土地をいう。)の価額として法務省令で定める方法により算定される額の合計額の二分の一に相当する額に筆界特定によつて通常得られることとなる利益の割合として法務省令で定める割合を乗じて得た額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は代理すること。
2 前項第六号から第八号までに規定する業務(以下「簡裁訴訟代理等関係業務」という。)は、次のいずれにも該当する司法書士に限り、行うことができる。
一 簡裁訴訟代理等関係業務について法務省令で定める法人が実施する研修であつて法務大臣が指定するものの課程を修了した者であること。
二 前号に規定する者の申請に基づき法務大臣が簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定した者であること。
三 司法書士会の会員であること。
3 法務大臣は、次のいずれにも該当するものと認められる研修についてのみ前項第一号の指定をするものとする。
一 研修の内容が、簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力の習得に十分なものとして法務省令で定める基準を満たすものであること。
二 研修の実施に関する計画が、その適正かつ確実な実施のために適切なものであること。
三 研修を実施する法人が、前号の計画を適正かつ確実に遂行するに足りる専門的能力及び経理的基礎を有するものであること。
4 法務大臣は、第二項第一号の研修の適正かつ確実な実施を確保するために必要な限度において、当該研修を実施する法人に対し、当該研修に関して、必要な報告若しくは資料の提出を求め、又は必要な命令をすることができる。
5 司法書士は、第二項第二号の規定による認定を受けようとするときは、政令で定めるところにより、手数料を納めなければならない。
6 第二項に規定する司法書士は、民事訴訟法第五十四条第一項本文(民事保全法第七条又は民事執行法第二十条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、第一項第六号イからハまで又はホに掲げる手続における訴訟代理人又は代理人となることができる。
7 第二項に規定する司法書士であつて第一項第六号イ及びロに掲げる手続において訴訟代理人になつたものは、民事訴訟法第五十五条第一項の規定にかかわらず、委任を受けた事件について、強制執行に関する訴訟行為をすることができない。ただし、第二項に規定する司法書士であつて第一項第六号イに掲げる手続のうち少額訴訟の手続において訴訟代理人になつたものが同号ホに掲げる手続についてする訴訟行為については、この限りでない。
8 司法書士は、第一項に規定する業務であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、これを行うことができない。
土地家屋調査士法
(業務)
第三条 調査士は、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 不動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査又は測量
二 不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続についての代理
三 不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続について法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第五号において同じ。)の作成
四 筆界特定の手続(不動産登記法第六章第二節の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。次号において同じ。)についての代理
五 筆界特定の手続について法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録の作成
六 前各号に掲げる事務についての相談
七 土地の筆界が現地において明らかでないことを原因とする民事に関する紛争に係る民間紛争解決手続(民間事業者が、紛争の当事者が和解をすることができる民事上の紛争について、紛争の当事者双方からの依頼を受け、当該紛争の当事者との間の契約に基づき、和解の仲介を行う裁判外紛争解決手続(訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続をいう。)をいう。)であつて当該紛争の解決の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として法務大臣が指定するものが行うものについての代理
八 前号に掲げる事務についての相談
2 前項第七号及び第八号に規定する業務(以下「民間紛争解決手続代理関係業務」という。)は、次のいずれにも該当する調査士に限り、行うことができる。この場合において、同項第七号に規定する業務は、弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り、行うことができる。
一 民間紛争解決手続代理関係業務について法務省令で定める法人が実施する研修であつて法務大臣が指定するものの課程を修了した者であること。
二 前号に規定する者の申請に基づき法務大臣が民間紛争解決手続代理関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定した者であること。
三 土地家屋調査士会(以下「調査士会」という。)の会員であること。
3 法務大臣は、次のいずれにも該当するものと認められる研修についてのみ前項第一号の指定をするものとする。
一 研修の内容が、民間紛争解決手続代理関係業務を行うのに必要な能力の習得に十分なものとして法務省令で定める基準を満たすものであること。
二 研修の実施に関する計画が、その適正かつ確実な実施のために適切なものであること。
三 研修を実施する法人が、前号の計画を適正かつ確実に遂行するに足りる専門的能力及び経理的基礎を有するものであること。
4 法務大臣は、第二項第一号の研修の適正かつ確実な実施を確保するために必要な限度において、当該研修を実施する法人に対し、当該研修に関して、必要な報告若しくは資料の提出を求め、又は必要な命令をすることができる。
5 調査士は、第二項第二号の規定による認定を受けようとするときは、政令で定めるところにより、手数料を納めなければならない。
税理士法
(税理士の業務)
第二条 税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税、法定外普通税(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第十条の四第二項に規定する道府県法定外普通税及び市町村法定外普通税をいう。)、法定外目的税(同項に規定する法定外目的税をいう。)その他の政令で定めるものを除く。第四十九条の二第二項第十一号を除き、以下同じ。)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 税務代理(税務官公署(税関官署を除くものとし、国税不服審判所を含むものとする。以下同じ。)に対する租税に関する法令若しくは行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)の規定に基づく申告、申請、請求若しくは不服申立て(これらに準ずるものとして政令で定める行為を含むものとし、酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二章の規定に係る申告、申請及び審査請求を除くものとする。以下「申告等」という。)につき、又は当該申告等若しくは税務官公署の調査若しくは処分に関し税務官公署に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行すること(次号の税務書類の作成にとどまるものを除く。)をいう。)
二 税務書類の作成(税務官公署に対する申告等に係る申告書、申請書、請求書、不服申立書その他租税に関する法令の規定に基づき、作成し、かつ、税務官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)で財務省令で定めるもの(以下「申告書等」という。)を作成することをいう。)
三 税務相談(税務官公署に対する申告等、第一号に規定する主張若しくは陳述又は申告書等の作成に関し、租税の課税標準等(国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第六号イからヘまでに掲げる事項及び地方税(森林環境税及び特別法人事業税を含む。以下同じ。)に係るこれらに相当するものをいう。以下同じ。)の計算に関する事項について相談に応ずることをいう。)
2 税理士は、前項に規定する業務(以下「税理士業務」という。)のほか、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる。ただし、他の法律においてその事務を業として行うことが制限されている事項については、この限りでない。
3 前二項の規定は、税理士が他の税理士又は税理士法人(第四十八条の二に規定する税理士法人をいう。次章、第四章及び第五章において同じ。)の補助者として前二項の業務に従事することを妨げない。
第二条の二 税理士は、租税に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。
2 前項の陳述は、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は訴訟代理人が同項の陳述を直ちに取り消し、又は更正したときは、この限りでない。
社会保険労務士法
(社会保険労務士の業務)
第二条 社会保険労務士は、次の各号に掲げる事務を行うことを業とする。
一 別表第一に掲げる労働及び社会保険に関する法令(以下「労働社会保険諸法令」という。)に基づいて申請書等(行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書、審査請求書、再審査請求書その他の書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識できない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。)をいう。以下同じ。)を作成すること。
一の二 申請書等について、その提出に関する手続を代わつてすること。
一の三 労働社会保険諸法令に基づく申請、届出、報告、審査請求、再審査請求その他の事項(厚生労働省令で定めるものに限る。以下この号において「申請等」という。)について、又は当該申請等に係る行政機関等の調査若しくは処分に関し当該行政機関等に対してする主張若しくは陳述(厚生労働省令で定めるものを除く。)について、代理すること(第二十五条の二第一項において「事務代理」という。)。
一の四 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第六条第一項の紛争調整委員会における同法第五条第一項のあつせんの手続並びに障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第七十四条の七第一項、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)第三十条の六第一項、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第十八条第一項、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第四十七条の八第一項、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第五十二条の五第一項及び短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)第二十五条第一項の調停の手続について、紛争の当事者を代理すること。
一の五 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百八十条の二の規定に基づく都道府県知事の委任を受けて都道府県労働委員会が行う個別労働関係紛争(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第一条に規定する個別労働関係紛争(労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)第六条に規定する労働争議に当たる紛争及び行政執行法人の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二十六条第一項に規定する紛争並びに労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く。)をいう。以下単に「個別労働関係紛争」という。)に関するあつせんの手続について、紛争の当事者を代理すること。
一の六 個別労働関係紛争(紛争の目的の価額が百二十万円を超える場合には、弁護士が同一の依頼者から受任しているものに限る。)に関する民間紛争解決手続(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成十六年法律第百五十一号)第二条第一号に規定する民間紛争解決手続をいう。以下この条において同じ。)であつて、個別労働関係紛争の民間紛争解決手続の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として厚生労働大臣が指定するものが行うものについて、紛争の当事者を代理すること。
二 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録を含み、申請書等を除く。)を作成すること。
三 事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること(これらの事項に係る法令並びに労働協約、就業規則及び労働契約の遵守の状況を監査することを含む。)。
2 前項第一号の四から第一号の六までに掲げる業務(以下「紛争解決手続代理業務」という。)は、紛争解決手続代理業務試験に合格し、かつ、第十四条の十一の三第一項の規定による付記を受けた社会保険労務士(以下「特定社会保険労務士」という。)に限り、行うことができる。
3 紛争解決手続代理業務には、次に掲げる事務が含まれる。
一 第一項第一号の四のあつせんの手続及び調停の手続、同項第一号の五のあつせんの手続並びに同項第一号の六の厚生労働大臣が指定する団体が行う民間紛争解決手続(以下この項において「紛争解決手続」という。)について相談に応ずること。
二 紛争解決手続の開始から終了に至るまでの間に和解の交渉を行うこと。
三 紛争解決手続により成立した和解における合意を内容とする契約を締結すること。
4 第一項各号に掲げる事務には、その事務を行うことが他の法律において制限されている事務並びに労働社会保険諸法令に基づく療養の給付及びこれに相当する給付の費用についてこれらの給付を担当する者のなす請求に関する事務は含まれない。
第二条の二 社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。
2 前項の陳述は、当事者又は代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は代理人が同項の陳述を直ちに取り消し、又は更正したときは、この限りでない。
弁理士法
(業務)
第四条 弁理士は、他人の求めに応じ、特許、実用新案、意匠若しくは商標又は国際出願、意匠に係る国際登録出願若しくは商標に係る国際登録出願に関する特許庁における手続及び特許、実用新案、意匠又は商標に関する行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)の規定による審査請求又は裁定に関する経済産業大臣に対する手続についての代理並びにこれらの手続に係る事項に関する鑑定その他の事務を行うことを業とする。
2 弁理士は、前項に規定する業務のほか、他人の求めに応じ、次に掲げる事務を行うことを業とすることができる。
一 関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第六十九条の三第一項及び第六十九条の十二第一項に規定する認定手続に関する税関長に対する手続並びに同法第六十九条の四第一項及び第六十九条の十三第一項の規定による申立て並びに当該申立てをした者及び当該申立てに係る貨物を輸出し、又は輸入しようとする者が行う当該申立てに関する税関長又は財務大臣に対する手続についての代理
二 特許、実用新案、意匠、商標、回路配置若しくは特定不正競争に関する事件又は著作物(著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第二条第一項第一号に規定する著作物をいう。以下同じ。)に関する権利に関する事件の裁判外紛争解決手続(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成十六年法律第百五十一号)第一条に規定する裁判外紛争解決手続をいう。以下この号において同じ。)であって、これらの事件の裁判外紛争解決手続の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として経済産業大臣が指定するものが行うものについての代理
三 前二号に掲げる事務についての相談
四 特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第百五条の二の十一第一項及び第二項(同法第六十五条第六項及び実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第三十条において準用する場合を含む。)に規定する意見を記載した書面を提出しようとする者からの当該意見の内容(特許法及び実用新案法の適用に関するものに限る。)に関する相談
3 弁理士は、前二項に規定する業務のほか、弁理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、次に掲げる事務を行うことを業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
一 特許、実用新案、意匠、商標、回路配置若しくは著作物に関する権利若しくは技術上の秘密若しくは技術上のデータの売買契約、通常実施権の許諾に関する契約その他の契約の締結の代理若しくは媒介を行い、又はこれらに関する相談に応ずること。
二 外国の行政官庁又はこれに準ずる機関に対する特許、実用新案、意匠、商標、植物の新品種又は地理的表示(ある商品に関し、その確立した品質、社会的評価その他の特性が当該商品の地理的原産地に主として帰せられる場合において、当該商品が特定の場所、地域又は国を原産地とするものであることを特定する表示をいう。次号において同じ。)に関する権利に関する手続(日本国内に住所又は居所(法人にあっては、営業所)を有する者が行うものに限る。)に関する資料の作成その他の事務を行うこと。
三 発明、考案、意匠若しくは商標(これらに関する権利に関する手続であって既に特許庁に係属しているものに係るものを除く。)、回路配置(既に経済産業大臣に対して提出された回路配置利用権の設定登録の申請に係るものを除く。)、植物の新品種、事業活動に有用な技術上の情報(技術上の秘密及び技術上のデータを除く。)又は地理的表示の保護に関する相談に応ずること。
四 特許、実用新案、意匠、商標若しくは回路配置に関する権利若しくは技術上の秘密若しくは技術上のデータの利用の機会の拡大に資する日本産業規格その他の規格の案の作成に関与し、又はこれに関する相談に応ずること。
第五条 弁理士は、特許、実用新案、意匠若しくは商標、国際出願、意匠に係る国際登録出願若しくは商標に係る国際登録出願、回路配置又は特定不正競争に関する事項について、裁判所において、補佐人として、当事者又は訴訟代理人とともに出頭し、陳述又は尋問をすることができる。
2 前項の陳述及び尋問は、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は訴訟代理人が同項の陳述を直ちに取り消し、又は更正したときは、この限りでない。
第六条 弁理士は、特許法第百七十八条第一項、実用新案法第四十七条第一項、意匠法第五十九条第一項又は商標法第六十三条第一項に規定する訴訟に関して訴訟代理人となることができる。
第六条の二 弁理士は、第十五条の二第一項に規定する特定侵害訴訟代理業務試験に合格し、かつ、第二十七条の三第一項の規定によりその旨の付記を受けたときは、特定侵害訴訟に関して、弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り、その訴訟代理人となることができる。
2 前項の規定により訴訟代理人となった弁理士が期日に出頭するときは、弁護士とともに出頭しなければならない。
3 前項の規定にかかわらず、弁理士は、裁判所が相当と認めるときは、単独で出頭することができる。
海事代理士法
(業務)
第一条 海事代理士は、他人の委託により、別表第一に定める行政機関に対し、別表第二に定める法令の規定に基づく申請、届出、登記その他の手続をし、及びこれらの手続に関し書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。)の作成をすることを業とする。
別表第一(第一条関係)
一 国土交通省の機関
二 法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所
三 都道府県の機関
四 市町村の機関
別表第二(第一条関係)
一 船舶法(明治三十二年法律第四十六号)
二 船舶安全法(昭和八年法律第十一号)
三 船員法(昭和二十二年法律第百号)
四 船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)
五 船舶職員及び小型船舶操縦者法(昭和二十六年法律第百四十九号)
六 海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)
七 港湾運送事業法(昭和二十六年法律第百六十一号)
八 内航海運業法(昭和二十七年法律第百五十一号)
九 港則法(昭和二十三年法律第百七十四号)
十 海上交通安全法(昭和四十七年法律第百十五号)
十一 造船法(昭和二十五年法律第百二十九号)
十二 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十六号)
十三 国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律(平成十六年法律第三十一号)(国際港湾施設に係る部分を除く。)
十四 領海等における外国船舶の航行に関する法律(平成二十年法律第六十四号)
十五 船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律(平成三十年法律第六十一号)(有害物質一覧表並びに同法第三十条第二項及び第三十一条第二項に規定する船級協会に係る部分に限る。)
十六 前各号に掲げる法律に基づく命令
行政書士法
(業務)
第一条の三 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
2 行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。
第一条の四 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
一 前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続及び当該官公署に提出する書類に係る許認可等(行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第三号に規定する許認可等及び当該書類の受理をいう。次号において同じ。)に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七十二条に規定する法律事件に関する法律事務に該当するものを除く。)について代理すること。
二 前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成すること。
三 前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。
四 前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。
2 前項第二号に掲げる業務は、当該業務について日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した行政書士(以下「特定行政書士」という。)に限り、行うことができる。
(業務の制限)
第十九条 行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。
2 総務大臣は、前項に規定する総務省令を定めるときは、あらかじめ、当該手続に係る法令を所管する国務大臣の意見を聴くものとする。
(4) 最高裁判例
最判平成22年12月20日刑集64巻8号1291頁
「本件家系図は,自らの家系図を体裁の良い形式で残しておきたいという依頼者の希望に沿って,個人の観賞ないしは記念のための品として作成されたと認められるものであり,それ以上の対外的な関係で意味のある証明文書として利用されることが予定されていたことをうかがわせる具体的な事情は見当たらない。そうすると,このような事実関係の下では,本件家系図は,依頼者に係る身分関係を表示した書類であることは否定できないとしても,行政書士法1条の3第1項にいう「事実証明に関する書類」に当たるとみることはできないというべきである」
3. 家系図作成・先祖調査と各士業の業務範囲
(1) 先祖調査依頼の実態
先祖調査依頼は、以下の特徴を持つ:
- 目的: 自分のルーツを知りたい、家族の歴史を残したい
- 成果物: 観賞用・記念用の家系図
- 用途: 家庭内での保管、子孫への継承
これらは、最判平成22年が判示した「自らの家系図を作成して残しておきたいという依頼者の希望に沿って、個人の観賞ないしは記念のための品として作成された」家系図に該当する。
(2) 行政書士法における家系図作成の位置づけ
行政書士法1条の3第1項は、行政書士の業務を「官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成すること」と規定している。
最判平成22年は、観賞・記念目的の家系図について、「対外的な関係で意味のある証明文書として利用されることが予定されていたことをうかがわせる具体的な事情は見当たらない」場合には、「事実証明に関する書類」に当たらないと判示した。
したがって、海外からの先祖調査依頼における観賞・記念目的の家系図作成は、行政書士法1条の3第1項の業務に該当しない。
(3) その他の士業の業務範囲
- 弁護士: 訴訟事件、非訟事件及び行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務(弁護士法3条)→ 観賞・記念用家系図作成は該当しない
- 司法書士: 登記・供託に関する手続代理、法務局提出書類作成等(司法書士法3条)→ 該当しない
- 土地家屋調査士: 不動産の表示に関する登記についての調査・測量・代理等(土地家屋調査士法3条)→ 該当しない
- 税理士: 税務代理、税務書類作成、税務相談(税理士法2条)→ 該当しない
- 社会保険労務士: 労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成等(社会保険労務士法2条)→ 該当しない
- 弁理士: 特許、実用新案、意匠、商標等に関する特許庁における手続代理等(弁理士法4条)→ 該当しない
- 海事代理士: 海事関係法令に基づく行政機関への申請等(海事代理士法1条、別表第二)→ 該当しない
4. 戸籍法10条の2第3項の要件該当性
戸籍法10条の2第3項は、士業が戸籍請求できる場合を「受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合」と規定している。
この要件は、以下の要素から構成される:
- 士業資格を有すること
- 受任している事件又は事務が存在すること
- その事件・事務が当該士業の業務範囲内であること
- 当該事件・事務の遂行に戸籍が必要であること
観賞・記念目的の家系図作成・先祖調査については:
- 行政書士: 上記3の要件を満たさない(最判平成22年により業務範囲外)
- その他の士業: 明らかに上記3の要件を満たさない(各士業法の業務範囲外)
したがって、いかなる士業も、観賞・記念目的の家系図作成・先祖調査のために戸籍法10条の2第3項に基づく戸籍請求はできない。
5. 戸籍法135条違反の成立
戸籍法135条は、「偽りその他不正の手段により」戸籍謄本等の交付を受けた者を処罰する。
観賞・記念目的の家系図作成・先祖調査のために戸籍請求する場合、戸籍請求書の「業務の種類」欄に記載すべき内容は:
(1) 「家系図作成」「先祖調査」と記載する場合
当該士業の業務範囲外であるにもかかわらず、士業資格に基づく戸籍法10条の2第3項による請求として申請することになる。これは「偽りその他不正の手段」に該当する。
(2) 「相続手続」等の虚偽目的を記載する場合
実際の目的と異なる虚偽の記載であり、明白に「偽りその他不正の手段」に該当する。
(3) 個人請求を装う場合
実際には業務として反復継続的に他人の戸籍を請求しているにもかかわらず、個人として請求するように装うことは、業務実態を秘匿する「不正の手段」に該当する。
7. 結論
(1) 各士業の業務範囲
| 士業 | 中心業務 | 家系図作成は該当するか |
| 弁護士 | 訴訟手続・紛争処理の代理業務 | ✗ 該当しない |
| 司法書士 | 登記・供託申請代理、簡裁訴訟代理 | ✗ 該当しない |
| 土地家屋調査士 | 不動産表示登記申請代理 | ✗ 該当しない |
| 税理士 | 税務代理、税務書類作成 | ✗ 該当しない |
| 社会保険労務士 | 労働社会保険手続代理 | ✗ 該当しない |
| 弁理士 | 特許・商標等の出願代理 | ✗ 該当しない |
| 海事代理士 | 海事関係の行政手続代理 | ✗ 該当しない |
| 行政書士 | 官公署提出書類作成・代理 | ✗ 該当しない(最判平成22年) |
(2) まとめ
報酬を得て観賞・記念目的の家系図作成・先祖調査のために戸籍を代理請求することは:
- 戸籍請求書を含む官公庁へ提出する書類の作成・提出は行政書士の独占業務である(行政書士法1条の3第1項、1条の4第1項1号、19条1項)
- 無資格者が業として(=他人から依頼を受けて報酬を得て反復継続)官公庁へ提出する書類(=戸籍請求書)を作成・提出すれば行政書士法19条1項違反
- 行政書士が家系図作成目的で行っても:
- 家系図作成は行政書士業務ではない(最判平成22年)
- したがって戸籍法10条の2第3項の要件を満たさない
- 戸籍法135条違反
- 他の士業が家系図作成目的で行っても:
- 各士業法の業務範囲外
- 戸籍法10条の2第3項・第4項の要件を満たさない
- 戸籍法135条違反
結論:他人の依頼を受けて家系図作成目的での戸籍請求書作成・提出を業として行える者は誰もいない。
他人の依頼を受けて報酬を得て家系図作成・先祖調査目的で戸籍を代理請求することは違法である。
委任状というのは、他人の依頼を受けたということである。
(3) これまで代理請求できていた事実上の理由
にもかかわらず、従来、一部の者が観賞・記念目的の家系図作成のために戸籍代理請求できていたとすれば、その理由は以下のいずれかである:
- 「相続手続」等の虚偽目的を記載していた
- 業務であることを秘して個人として申請していた
- 個々の市区町村から見ると単発請求に見えたため発覚しなかった
いずれの場合も、戸籍法135条の「偽りその他不正の手段」に該当する。
先祖調査案件のために同じ市区町村に申請するのは通常単発的であるため、市区町村側から見れば、反復継続的に委任を受けて請求しているようには見えず、事実上発覚しにくい構造であった。
しかし、全体的に見れば、正当な理由もなく、他人の依頼を受けて報酬を得て反復継続的に他人の戸籍請求をしているのであるから、戸籍法違反及び行政書士法違反が成立する。
