浄土真宗の法名・墓石・設置物・参拝作法|釋・倶会一処・位牌を用いない理由

nishihongwanji 先祖調査コラム
写真:Kakidai/CC BY-SA 4.0、Wikimedia Commons。サイズを変更して掲載

浄土真宗は、親鸞の教えに基づく宗派で、「南無阿弥陀仏」の念仏を中心とします。戒名ではなく「法名」を用い、位牌や卒塔婆を用いない点など、ほかの宗派と大きく異なります。この記事では、浄土真宗の法名、墓石、設置物、参拝の作法をまとめます。

西本願寺の御影堂(京都市下京区)
西本願寺の御影堂(京都市下京区)(写真:Kakidai/CC BY-SA 4.0、Wikimedia Commons。サイズを変更して掲載)

基本情報

念仏と聞法(教えを聞くこと)を大切にし、加持祈祷は行いません。真宗教団連合に加盟する十派と本山は、次のとおりです。

派 本山 所在地
浄土真宗本願寺派 本願寺(西本願寺) 京都市下京区
真宗大谷派 真宗本廟(東本願寺) 京都市下京区
真宗高田派 専修寺(高田本山) 三重県津市
真宗佛光寺派 佛光寺 京都市下京区
真宗興正派 興正寺 京都市下京区
真宗木辺派 錦織寺 滋賀県野洲市
真宗出雲路派 毫摂寺(五分市本山) 福井県越前市
真宗誠照寺派 誠照寺(鯖江本山) 福井県鯖江市
真宗三門徒派 専照寺(中野本山) 福井県福井市
真宗山元派 證誠寺(横越本山) 福井県鯖江市

法名の特徴

  • 「戒名」とは呼ばず、「法名」と呼びます。本願寺派の公式Q&Aは、「浄土真宗では『戒名』という言い方はしません」と記載しています。
  • 法名は、二字の名前に「釋」または「釋尼」を冠します。基本は、男性が「釋○○」、女性が「釋尼○○」です。位号は用いません。道号も用いません(高田派を除く)。
  • 法名は、帰敬式(おかみそり)を受けた人に授けられます。仏教徒としての自覚の証しとされています。帰敬式は、三宝に帰依し、真宗門徒として歩み出すことを誓う儀式で、本尊の前で「三帰依文」を唱え、剃刀を頭に3度あてます。実際に髪は剃りません。
  • 真宗大谷派では、2025年1月1日から、「釋」と「釋尼」を本人の希望で選べるようになりました。2025年以降の法名は、性別と「釋尼」が一致しないことがあります。

構成の詳細は、戒名・法名・法号の構成をご覧ください。

墓石に記されること

  • 「○○家之墓」ではなく、「南無阿弥陀仏」の名号、または『仏説阿弥陀経』の「倶会一処」を刻みます(真宗大谷派の案内)。墓が、仏の教えと呼びかけを聞く場となることを願ってのことです。
  • 本願寺派の案内でも、石碑(軸石)の正面に「南無阿弥陀仏」のお名号を刻むことが勧められています。
  • 墓石は、故人の霊を祀る「霊標」ではなく、「法名碑」とするよう述べられています。
  • 「吉日」の文字は刻みません。
  • 「○○家之墓」と刻む例は、浄土真宗の信徒の間では少数派とされています。

墓石の配置・構成の特徴

  • 墓に決まった形式はありません。建立前に寺院に相談するよう案内されています。
  • 観音像・地蔵像・宝塔は不要とされています。
  • 墓の方位、日の吉凶、風水は、仏教と関係のない迷信として、必要ないとされています(真宗大谷派)。墓相に惑わされないよう、本願寺派の案内にもあります。
  • 墓の大きさは重要ではなく、経済状況や土地に合わせて選ぶとされています(真宗大谷派)。
  • 納骨の時期に決まりはありません。本願寺派の案内では、満中陰(四十九日)か百ヵ日ごろが目安とされています。真宗大谷派は、多くの地域で四十九日の法要の後に納めるとしています。
  • 分骨は、禁じる理由がないとされています(本願寺派)。大谷派には、東本願寺(真宗本廟)への収骨や、親鸞の墓所である大谷祖廟(東大谷)への納骨があります。

卒塔婆・位牌など設置物の特徴

  • 卒塔婆:浄土真宗系は板塔婆を立てないとされています。先祖供養の教義がないため、五輪塔も用いないとされます。ただし、親鸞の妻・恵信尼の墓や、高野山の親鸞供養塔は五輪塔です。
  • 位牌:位牌は用いません。本願寺派の公式Q&Aは、位牌は中国の儒教に由来し、霊が宿るという意識が残るため用いないとしています。かわりに、法名を書いた「法名軸」や、過去帳を用います。過去帳は、法事のときに台にのせて、中脇壇か下段に置きます。高田派は、位牌を用いる例外とされています。
  • 線香・焼香:日常の線香は土香炉で、短く折って寝かせて燃やします。法事などの焼香は、フタ付きの金香炉を用います。
法名軸の例。「釋」で始まる法名が書かれています
法名軸の例。「釋」で始まる法名が書かれています(写真:Triglav/CC BY-SA 4.0、Wikimedia Commons。サイズを変更して掲載)

参拝の作法・唱える言葉

  • 唱える言葉:「南無阿弥陀仏」の念仏です。本願寺派の案内では、合掌するときは必ず声に出して念仏を申すとされ、「黙念」という作法はありません。
  • お墓の意味:真宗大谷派の案内では、お墓は、亡くなった方にお願いごとをする場ではありません。「南無阿弥陀仏」を称え、仏の教えを聞く場とされています。本願寺派の案内では、お墓参りは、亡き人の願いとはたらきを聞き、念仏を味わうことと説明されています。
  • 念珠:煩悩を滅する道具や回数を数える道具ではなく、阿弥陀仏に合掌礼拝するときの礼儀として用います。床や畳に直接置いたり、投げたりしないように注意されています。
  • 焼香:本願寺派では、お香をおしいただかず、回数は一回です。尊前で頭を下げ、香盒の蓋を取ってお香をつまみ、香炉に入れ、蓋をして合掌礼拝し、後退して一礼します。

先祖調査での見方

  • 位牌がなく、法名軸と過去帳がある家は、浄土真宗の可能性があります。
  • 墓石に、俗名ではなく法名が刻まれている場合は、法名から俗名を調べるために、過去帳や寺院の記録を確認してください。
  • 真宗十派のうち、どの派かによって、本山や位牌の扱いが異なります。菩提寺に派を確認してください。

宗派と墓石のほかのページ

参考資料

2026年10月24日に確認した内容です。宗派の中には、寺院・地域・時代によって扱いが異なる事項があります。先祖の墓や位牌について確認するときは、菩提寺または墓地の管理者に問い合わせてください。