天台宗の戒名・墓石・卒塔婆・参拝作法|五輪塔と光明真言

enryakuji 先祖調査コラム
写真:663highland/CC BY 2.5、Wikimedia Commons。サイズを変更して掲載

天台宗は、最澄が日本に伝えた宗派です。総本山は比叡山延暦寺で、お経は法華経を根本とします。この記事では、天台宗の戒名の特徴、墓石、卒塔婆、お墓参りの作法と唱える言葉をまとめます。

比叡山延暦寺の根本中堂(滋賀県大津市)
比叡山延暦寺の根本中堂(滋賀県大津市)(写真:663highland/CC BY 2.5、Wikimedia Commons。サイズを変更して掲載)

基本情報

項目 内容
日本での開祖 最澄(伝教大師)。806年に天台法華宗として公認されました。
総本山 比叡山延暦寺(山門派)。園城寺(寺門派)、西教寺(天台真盛宗)も天台系の本山です。
根本のお経 法華経
実践の言い回し 「朝題目に夕念仏」。朝に法華経を読んで罪を懺悔し、夕に阿弥陀仏を念じる法要を行うことを指します。

戒名の特徴

  • 呼び方は「戒名」で、「法名」とも呼ばれます。院号・道号・戒名・位号の順に付けます。
  • 女性の戒名には「妙」号が多く使われます。
  • 戒を受け終わった証が戒名です。亡くなってから授かるものと思われがちですが、本来は生前に授かることもできます。天台宗の葬儀では、故人を仏界へ導くために授戒し、戒名を授けます。

戒名の構成と位号は、戒名・法名・法号の構成をご覧ください。

墓石に記されること

  • 五輪塔を墓塔にする場合、上から「妙法蓮華経」の五字を刻むことがあります。
  • 宗派を問わず、梵字の種子を刻む例も多くあります。
  • 位牌では、戒名の上に、大日如来を表す梵字「阿」を置く例が位牌の項に記載されています。位牌の様式は寺院によって異なります。

墓石の配置・構成の特徴

天台宗の公式Q&Aでは、墓の方位や墓相を気にする必要はないと説明されています。墓はもともと仏塔として建てられたもので、東西南北、上下のいずれの方位も関係ないとされています。どんなに立派な墓でも、荒れていては先祖の供養にならない、とも説明されています。

卒塔婆の特徴

  • 卒塔婆は、釈迦の遺骨を納めた塔(ストゥーパ)を漢字で表したものです。
  • 形は五輪塔に由来します。インドでは、宇宙は地・水・火・風・空の五つの要素からなると考えられていました。その五つを重ねた形が、宇宙全体を示すのにふさわしいとして、卒塔婆に取り入れられました。
  • 天台宗の法話では、墓参の際に墓地へ立てるとされています。宇宙の真理に触れ、仏性を開き、より良い人生を歩む誓いを立てて、仏の加護を祈るためです。その祈りは、亡き人の成仏や、生きとし生けるものの安寧にも及ぶべきだと説明されています。
  • 追善供養では、お供え物や塔婆を捧げることが中心になりました。

参拝の作法・唱える言葉

天台宗の公式Q&Aでは、お墓参りに特別な作法はなく、ご先祖様への報恩感謝の気持ちを込めてお参りすることが大切とされています。墓参りの基本的な流れは、墓石の構成と卒塔婆・五輪塔をご覧ください。

唱える言葉は、次のとおりです。

  • 光明真言:天台宗の密教法要では、光明供が多く修されます。光明供は、阿弥陀仏を本尊とし、光明真言を念誦する法要です。葬式や法事では、まず光明供を修してから、葬送や施餓鬼の作法に進みます。真言を唱え、故人が極楽浄土へ導かれることを祈ります。
  • 光明真言の文言(天台宗の公式サイトの表記):オン、アボキヤ、ビロシャナ、マカボダラ、マニハンドマ、ジンバラ、ハラバリタヤウン。唱え方は宗派によって異なります。
  • お題目とお念仏:朝は法華懺法(法華経を読んで罪を懺悔する修法)、夕は例時作法(阿弥陀経を読む)を行うことが、「朝題目に夕念仏」と言われます。

先祖調査での見方

  • 女性の戒名に「妙」の字がある、五輪塔に「妙法蓮華経」が刻まれているなどは、天台宗に限らず日蓮宗とも共通するため、宗派の決め手にしないでください。
  • 天台宗の寺院には、比叡山の山門派のほか、園城寺の寺門派、西教寺の天台真盛宗があります。先祖の菩提寺の本山を確認してください。

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参考資料

2026年10月24日に確認した内容です。宗派の中には、寺院・地域・時代によって扱いが異なる事項があります。先祖の墓や位牌について確認するときは、菩提寺または墓地の管理者に問い合わせてください。