宗派の一覧と墓石・戒名の見分け方|天台宗・真言宗・浄土宗・浄土真宗・禅宗・日蓮宗の早見表

cemetery 先祖調査コラム
写真:Daderot/CC BY-SA 3.0、Wikimedia Commons。サイズを変更して掲載

先祖の墓石や位牌を調べると、戒名の付き方、墓石に彫られた文言、卒塔婆の有無などから、菩提寺の宗派の見当がつくことがあります。宗派が分かれば、過去帳の閲覧を頼む寺院を絞り込めます。このページでは、日本の主な仏教宗派を一覧にし、宗派ごとの違いを早見表にまとめました。詳しい内容は、宗派ごとのページに分けています。

高野山奥之院の墓地。さまざまな形の墓塔や石仏が並んでいます
高野山奥之院の墓地。さまざまな形の墓塔や石仏が並んでいます(写真:Daderot/CC BY-SA 3.0、Wikimedia Commons。サイズを変更して掲載)
  1. このページの使い方
  2. 主な宗派の一覧
  3. 早見表:宗派ごとの戒名・墓石・卒塔婆・唱える言葉
  4. 墓石・戒名から宗派を絞り込む手順
  5. 宗派別の詳論
  6. 天台宗の戒名・墓石・卒塔婆・参拝作法
    1. 基本情報
    2. 戒名の特徴
    3. 墓石に記されること
    4. 墓石の配置・構成の特徴
    5. 卒塔婆の特徴
    6. 参拝の作法・唱える言葉
    7. 先祖調査での見方
  7. 真言宗の戒名・墓石・卒塔婆・参拝作法
    1. 基本情報
    2. 戒名の特徴
    3. 墓石に記されること・墓石の構成
    4. 卒塔婆の特徴
    5. 参拝の作法・唱える言葉
    6. 先祖調査での見方
  8. 浄土宗の戒名・墓石・卒塔婆・参拝作法
    1. 基本情報
    2. 戒名の特徴
    3. 墓石に記されること・墓石の構成
    4. 卒塔婆の特徴
    5. 参拝の作法・唱える言葉
      1. お十念の唱え方
      2. 数珠
  9. 浄土真宗の戒名・墓石・卒塔婆・参拝作法
    1. 基本情報
    2. 法名の特徴
    3. 墓石に記されること
    4. 墓石の配置・構成の特徴
    5. 卒塔婆・位牌など設置物の特徴
    6. 参拝の作法・唱える言葉
    7. 先祖調査での見方
  10. 臨済宗の戒名・墓石・卒塔婆・参拝作法
    1. 基本情報
    2. 戒名の特徴
    3. 墓石に記されること・墓石の構成
    4. 卒塔婆の特徴
    5. 参拝の作法・唱える言葉
    6. 先祖調査での見方
  11. 曹洞宗の戒名・墓石・卒塔婆・参拝作法
    1. 基本情報
    2. 戒名の特徴
    3. 墓石に記されること・墓石の構成
    4. 卒塔婆の特徴
    5. 参拝の作法・唱える言葉
    6. 差別戒名について
  12. 日蓮宗の戒名・墓石・卒塔婆・参拝作法
    1. 基本情報
    2. 法号の特徴
    3. 墓石に記されること
    4. 卒塔婆の特徴
    5. 参拝の作法・唱える言葉
    6. 先祖調査での見方
  13. 時宗・融通念仏宗・黄檗宗・南都系の宗派
    1. 時宗
    2. 融通念仏宗
    3. 黄檗宗
    4. 南都系の宗派
    5. 先祖調査での見方
  14. 宗派が変わっていることがあります
  15. 注意:差別戒名
  16. 参考資料

このページの使い方

  • 宗派が分かっているとき:下の一覧から宗派ごとのページに進んでください。
  • 宗派が分からないとき:「墓石・戒名から宗派を絞り込む手順」を読んでください。
  • 墓石の各部の名称や卒塔婆、五輪塔については、墓石の構成と卒塔婆・五輪塔を、戒名の構成については戒名・法名・法号の構成をご覧ください。

主な宗派の一覧

宗派 日本での開祖 本山(代表的なもの) 詳細
天台宗 最澄 比叡山延暦寺(山門派)、園城寺(寺門派)、西教寺(天台真盛宗) 天台宗のページ
真言宗 空海 高野山金剛峯寺(高野山真言宗)、東寺、智積院(智山派)、長谷寺(豊山派)、醍醐寺、仁和寺など十八本山 真言宗のページ
融通念仏宗 良忍 大念仏寺(大阪・平野) 融通念仏宗
浄土宗 法然 知恩院(総本山)。大本山に増上寺、金戒光明寺、百萬遍知恩寺、清浄華院、善導寺、光明寺(鎌倉市)、善光寺大本願 浄土宗のページ
浄土真宗 親鸞 十派あり。浄土真宗本願寺派(西本願寺)、真宗大谷派(東本願寺)、真宗高田派(専修寺)、真宗佛光寺派、真宗興正派ほか 浄土真宗のページ
時宗 一遍 清浄光寺(遊行寺、神奈川県藤沢市) 時宗
臨済宗 栄西(日本に伝えた人) 十五派あり。建仁寺、東福寺、建長寺、円覚寺、南禅寺、大徳寺、妙心寺、天龍寺、相国寺ほか 臨済宗のページ
曹洞宗 道元 永平寺(福井県)、總持寺(横浜市)の二大本山 曹洞宗のページ
黄檗宗 隠元隆琦 黄檗山萬福寺(京都府宇治市) 黄檗宗
日蓮宗 日蓮 身延山久遠寺(山梨県身延町) 日蓮宗のページ
法相宗・北法相宗・聖徳宗 道昭が日本に伝えた(法相宗) 法相宗は興福寺・薬師寺、北法相宗は清水寺、聖徳宗は法隆寺 南都系の宗派
華厳宗 審祥が736年に日本に伝えたとされる 東大寺 南都系の宗派
律宗・真言律宗 鑑真(律宗)、叡尊(真言律宗) 律宗は唐招提寺、真言律宗は西大寺 南都系の宗派

浄土真宗、真言宗、臨済宗は、複数の派に分かれています。同じ宗派名でも派によって戒名の付け方や作法が異なる場合があるため、宗派名に加えて派まで確認してください。日蓮を宗祖とする宗派は日蓮宗のほかにもあり、日蓮正宗では位牌の扱いなどが異なります。

早見表:宗派ごとの戒名・墓石・卒塔婆・唱える言葉

公式サイトまたはWikipediaで確認できた内容だけを表にしました。「—」は、今回確認した資料に記載がなかった項目です。実際の扱いは寺院・地域によって異なります。

宗派 戒名・法名の呼び方と特徴 墓石などに刻まれる文言 卒塔婆 唱える言葉
天台宗 戒名。院号・道号・戒名・位号の順。女性の戒名に「妙」号が多く使われる 五輪塔に、上から「妙法蓮華経」を刻むことがある 墓参の際に墓地へ立てる 光明真言。「朝題目に夕念仏」と言われる
真言宗 戒名。院号・道号・戒名・位号の順 五輪塔を墓塔にすることが一般的。梵字(種子)を刻む 五輪塔を模した形の板塔婆 光明真言、「南無大師遍照金剛」
浄土宗 戒名。五重相伝を受けた者に「誉号」が付く 「南無阿弥陀仏」。五輪塔に上から刻むことがある — 南無阿弥陀仏(お十念)
浄土真宗 法名(戒名とは呼ばない)。男性は「釋」、女性は「釋尼」が基本。位号・道号は用いない 「南無阿弥陀仏」または「倶会一処」 立てない 南無阿弥陀仏(念仏)
時宗 法名。男性は「阿」号、女性は「弌」号が原則 — — 南無阿弥陀仏
臨済宗 戒名。院号を付けない場合が多く、院号の代わりに軒号を使う 五輪塔に下から「地水火風空」と刻むことがある お盆・施餓鬼に立てる 墓前でお経を唱える(派・寺院により異なる)
曹洞宗 戒名または安名。院号・道号・戒名・位号の順。院号・位号は没後に付けるのが通常 五輪塔に下から「地水火風空」と刻むことがある 立てる。古いものは合掌して抜き取る 南無釈迦牟尼仏
黄檗宗 — — — 唐音で読経する
日蓮宗 法号。必ず「日」の字を含む日号が付く 「南無妙法蓮華経」、「妙法○○家先祖代々之墓」 表に題目と法号、裏に経文 南無妙法蓮華経(お題目)

墓石・戒名から宗派を絞り込む手順

  1. 戒名(法名)の形を見ます。「釋」で始まる二字の法名は、浄土真宗の可能性が高くなります。ただし、真宗大谷派では2025年1月1日から、帰敬式と得度式で「釋」と「釋尼」を本人の希望で選べるようになりました。近年の法名では、性別と「釋尼」が一致しないことがあります。
  2. 戒名に特定の字が入っているか見ます。「日」の字を含む日号は日蓮宗、男性の「阿」号・女性の「弌」号は時宗の特徴とされています。「誉」の字は浄土宗の誉号ですが、誉号は五重相伝を受けた人に付くため、浄土宗でも付かない人がいます。
  3. 墓石の正面や五輪塔の文字を見ます。「南無阿弥陀仏」は浄土真宗・浄土宗・時宗などの念仏系、「倶会一処」は浄土真宗(真宗大谷派の案内による)、「南無妙法蓮華経」や「妙法」は日蓮宗、梵字や五輪塔は真言宗など密教系に多い文言です。複数の宗派で使われる文言があるため、一つの文言だけで宗派を決めないでください。
  4. 位牌と仏壇を見ます。位牌がなく、法名を書いた掛軸(法名軸)や過去帳を用いている場合は、浄土真宗の可能性があります。
  5. 墓地の管理者に確認します。寺院の境内にある墓地であれば、その寺院が菩提寺です。宗派と派は、寺院に問い合わせて確定してください。
法名軸の例。浄土真宗では、位牌の代わりに法名を書いた掛軸を用いることがあります
法名軸の例。浄土真宗では、位牌の代わりに法名を書いた掛軸を用いることがあります(写真:Triglav/CC BY-SA 4.0、Wikimedia Commons。サイズを変更して掲載)

宗派別の詳論

宗派ごとに、戒名、墓石に記されること、墓石の配置・構成、卒塔婆、参拝の作法と唱える言葉を順に説明します。

天台宗の戒名・墓石・卒塔婆・参拝作法

天台宗は、最澄が日本に伝えた宗派です。総本山は比叡山延暦寺で、お経は法華経を根本とします。この記事では、天台宗の戒名の特徴、墓石、卒塔婆、お墓参りの作法と唱える言葉をまとめます。

基本情報

項目 内容
日本での開祖 最澄(伝教大師)。806年に天台法華宗として公認されました。
総本山 比叡山延暦寺(山門派)。園城寺(寺門派)、西教寺(天台真盛宗)も天台系の本山です。
根本のお経 法華経
実践の言い回し 「朝題目に夕念仏」。朝に法華経を読んで罪を懺悔し、夕に阿弥陀仏を念じる法要を行うことを指します。

戒名の特徴

  • 呼び方は「戒名」で、「法名」とも呼ばれます。院号・道号・戒名・位号の順に付けます。
  • 女性の戒名には「妙」号が多く使われます。
  • 戒を受け終わった証が戒名です。亡くなってから授かるものと思われがちですが、本来は生前に授かることもできます。天台宗の葬儀では、故人を仏界へ導くために授戒し、戒名を授けます。

戒名の構成と位号は、戒名・法名・法号の構成をご覧ください。

墓石に記されること

  • 五輪塔を墓塔にする場合、上から「妙法蓮華経」の五字を刻むことがあります。
  • 宗派を問わず、梵字の種子を刻む例も多くあります。
  • 位牌では、戒名の上に、大日如来を表す梵字「阿」を置く例が位牌の項に記載されています。位牌の様式は寺院によって異なります。

墓石の配置・構成の特徴

天台宗の公式Q&Aでは、墓の方位や墓相を気にする必要はないと説明されています。墓はもともと仏塔として建てられたもので、東西南北、上下のいずれの方位も関係ないとされています。どんなに立派な墓でも、荒れていては先祖の供養にならない、とも説明されています。

卒塔婆の特徴

  • 卒塔婆は、釈迦の遺骨を納めた塔(ストゥーパ)を漢字で表したものです。
  • 形は五輪塔に由来します。インドでは、宇宙は地・水・火・風・空の五つの要素からなると考えられていました。その五つを重ねた形が、宇宙全体を示すのにふさわしいとして、卒塔婆に取り入れられました。
  • 天台宗の法話では、墓参の際に墓地へ立てるとされています。宇宙の真理に触れ、仏性を開き、より良い人生を歩む誓いを立てて、仏の加護を祈るためです。その祈りは、亡き人の成仏や、生きとし生けるものの安寧にも及ぶべきだと説明されています。
  • 追善供養では、お供え物や塔婆を捧げることが中心になりました。

参拝の作法・唱える言葉

天台宗の公式Q&Aでは、お墓参りに特別な作法はなく、ご先祖様への報恩感謝の気持ちを込めてお参りすることが大切とされています。墓参りの基本的な流れは、墓石の構成と卒塔婆・五輪塔をご覧ください。

唱える言葉は、次のとおりです。

  • 光明真言:天台宗の密教法要では、光明供が多く修されます。光明供は、阿弥陀仏を本尊とし、光明真言を念誦する法要です。葬式や法事では、まず光明供を修してから、葬送や施餓鬼の作法に進みます。真言を唱え、故人が極楽浄土へ導かれることを祈ります。
  • 光明真言の文言(天台宗の公式サイトの表記):オン、アボキヤ、ビロシャナ、マカボダラ、マニハンドマ、ジンバラ、ハラバリタヤウン。唱え方は宗派によって異なります。
  • お題目とお念仏:朝は法華懺法(法華経を読んで罪を懺悔する修法)、夕は例時作法(阿弥陀経を読む)を行うことが、「朝題目に夕念仏」と言われます。

先祖調査での見方

  • 女性の戒名に「妙」の字がある、五輪塔に「妙法蓮華経」が刻まれているなどは、天台宗に限らず日蓮宗とも共通するため、宗派の決め手にしないでください。
  • 天台宗の寺院には、比叡山の山門派のほか、園城寺の寺門派、西教寺の天台真盛宗があります。先祖の菩提寺の本山を確認してください。

この宗派だけをまとめたページは、天台宗のページです。

真言宗の戒名・墓石・卒塔婆・参拝作法

真言宗は、空海(弘法大師)が9世紀の初めに開いた宗派で、本尊は大日如来です。分派が多く、高野山真言宗、東寺真言宗、真言宗智山派、真言宗豊山派などに分かれています。この記事では、真言宗の戒名、墓石と五輪塔、卒塔婆、唱える言葉をまとめます。

基本情報

項目 内容
開祖 空海(弘法大師、774〜835年)
本尊 大日如来。ほかの仏を排除せず、すべての仏は大日如来とつながると考えるため、寺院ごとの本尊はさまざまです。
主な派と本山 高野山真言宗(金剛峯寺)、東寺真言宗(東寺)、真言宗智山派(智積院)、真言宗豊山派(長谷寺)、真言宗醍醐派(醍醐寺)、真言宗御室派(仁和寺)、真言宗大覚寺派(大覚寺)、真言宗泉涌寺派(泉涌寺)、真言宗善通寺派(善通寺)、信貴山真言宗(朝護孫子寺)、新義真言宗(根来寺)、真言律宗(西大寺)など、真言宗十八本山があります。

戒名の特徴

呼び方は「戒名」で、院号・道号・戒名・位号の順に付けます。位牌では、戒名の上に、大日如来を表す梵字「阿」を置く例が位牌の項に記載されています。子どもの位牌には、地蔵菩薩を表す梵字「訶」を置く例も記載されています。構成の詳細は、戒名・法名・法号の構成をご覧ください。

墓石に記されること・墓石の構成

  • 五輪塔:真言宗は密教の思想に基づくため、墓塔として五輪塔を建てることが一般的です。地・水・火・風・空を下から重ね、それぞれに梵字の種子(地輪「ア」、水輪「バ」、火輪「ラ」、風輪「カ」、空輪「キャ」)を刻みます。
  • 五輪塔と覚鑁:真言宗の僧・覚鑁の『五輪九字明秘密釈』は、五輪を人の体になぞらえ、座禅の姿(入定)と解釈しました。墓塔として五輪塔が多く使われた背景とされています。ただし、同書が五輪塔の起源ではありません。
  • 梵字:墓石の正面には、宗派の梵字を刻むことがあります。
  • 五輪塔に刻む文字や梵字の有無は、塔ごとに異なります。

墓石の各部の名称や、墓塔の種類は、墓石の構成と卒塔婆・五輪塔をご覧ください。

卒塔婆の特徴

板塔婆は、五輪塔を模した形で、上から空・風・火・水・地の五大を表します。12世紀に密教と真言宗の教えが結びつき、五輪塔を建てる習慣が現れました。『餓鬼草紙』や『一遍聖絵』には、木製の五輪卒塔婆が描かれています。板塔婆には、梵字、名号、種字、戒名、俗名を書きます。納骨時に最初の卒塔婆供養を行い、以後は法要ごとに新しいものに替えます。

参拝の作法・唱える言葉

  • 光明真言:真言宗では、光明真言に代表される真言や陀羅尼を唱えます。光明真言は、罪障の除滅や、亡き人に光明を及ぼして西方極楽に往かせる功徳が説かれる真言です。文言(智山派以外)は「オン アボキャ ベイロシャノウ マカボダラ マニ ハンドマ ジンバラ ハラバリタヤ ウン」です。智山派では「おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら まに はんどま じんばら はらはりたや うん」と表記され、唱え方が異なります。
  • 御宝号「南無大師遍照金剛」:「大師」は弘法大師、「遍照金剛」はもともと大日如来を指します。この御宝号を唱えることは、弘法大師と大日如来の両方に帰依する意思を表します。智山派では、弘法大師と興教大師を祀る寺院で「南無大師遍照金剛」と「南無興教大師」を唱えます。
  • 法事:豊山派は、法要で光明真言を唱えることを重視し、法事では檀信徒も一緒に唱えるよう勧めています。
  • お墓参りの手順は、墓石の構成と卒塔婆・五輪塔の共通の流れに沿います。墓前の作法の細部は、寺院や派によって異なるため、菩提寺の住職の指導に従ってください。

先祖調査での見方

  • 戒名の上の梵字、五輪塔の種子は、真言宗など密教系の手がかりになります。ただし、天台宗でも梵字を使うため、派や本山は寺院に確認してください。
  • 真言宗は十八本山に分かれています。同じ真言宗でも、派によって光明真言の唱え方が異なります。

この宗派だけをまとめたページは、真言宗のページです。

浄土宗の戒名・墓石・卒塔婆・参拝作法

浄土宗は、法然を宗祖とする宗派で、「南無阿弥陀仏」と称える念仏を中心とします。総本山は知恩院(京都市東山区)です。この記事では、浄土宗の戒名(誉号)、墓石、お墓参りの作法とお十念をまとめます。

基本情報

項目 内容
宗祖 法然。1175年(承安5年)、43歳のとき、善導の『観無量寿経疏』を機に専修念仏の道に進んだ年が、立教開宗の年とされています。
総本山・大本山 総本山は知恩院(白旗派を中心とします)。大本山は増上寺、金戒光明寺、百萬遍知恩寺、清浄華院、善導寺、光明寺(鎌倉市)、善光寺大本願です。
派 白旗派が現在の中心です。ほかに、浄土宗西山派(西山浄土宗、浄土宗西山禅林寺派、浄土宗西山深草派の3派)や、浄土宗捨世派(本山は一心院)があります。
唱える言葉 「南無阿弥陀仏」。阿弥陀仏に帰依しますという意味で、称える念仏を、阿弥陀仏が選び取った本願の行と考えます。

戒名の特徴

  • 呼び方は「戒名」で、浄土宗の案内では「法名(いわゆる戒名)」とも書かれます。
  • 鎮西派は、五重相伝を受けた人に「誉号」(○誉)が付きます。西山派では、誉号の代わりに「空号」が付きます。生前に受けられなかった故人のために行う回向を、「贈五重」と言います。
  • 戒名の順序は、「院号+誉号(または空号)+道号+戒名+位号」「院号+誉号(または空号)+戒名+位号」「院号+道号+戒名+位号」の3通りです。
  • 位牌には、法名(戒名)、俗名、命日、行年(享年)を記します。四十九日までは白木の「仮位牌」、その後は塗りの「本位牌」を仏壇に祀ります。

誉号は五重相伝を受けた人だけに付くため、誉号のない浄土宗の戒名もあります。「誉」の字がないことで、浄土宗でないと判断しないでください。構成の詳細は、戒名・法名・法号の構成をご覧ください。

墓石に記されること・墓石の構成

  • 墓石の正面には、名号(南無阿弥陀仏)や宗派の梵字を刻むことがあります。
  • 五輪塔を墓塔にする場合、上から「南無阿弥陀仏」を刻むことがあります。
  • 位牌では、阿弥陀如来を表す梵字「キリーク」を置く例が、位牌の項に記載されています。
  • 墓の種類は、墓石に遺骨を納める埋葬が主流ですが、永代供養墓、合祀墓、樹木葬、散骨などもあります。合祀墓や散骨は、一度納めたり撒いたりすると遺骨を集め直すのが難しいため、家族でよく相談するよう案内されています。
  • 墓の移転(お墓のお引越し)や分骨は、まず故郷の菩提寺とよく話し合うよう案内されています。

墓石の各部の名称は、墓石の構成と卒塔婆・五輪塔をご覧ください。

卒塔婆の特徴

今回確認した浄土宗の公式サイトには、卒塔婆の立て方についての記載がありませんでした。卒塔婆を立てるかどうか、書く内容は、菩提寺によって異なります。菩提寺に確認してください。

参拝の作法・唱える言葉

浄土宗の公式サイトに記載された、お墓参りの手順は次のとおりです。

  1. 菩提寺に墓がある場合は、まず住職に挨拶し、本堂の本尊にお参りします。
  2. 墓所に着いたら、合掌・礼拝をし、お十念を唱えてから、掃除をします。
  3. 掃除が済んだら、花(地方によっては樒)と線香を供え、墓石に水をかけます。
  4. 再び合掌して、お十念またはお念仏を唱えます。
  5. お供え物を置いていくことを禁じる墓地が増えています。花以外は持ち帰ります。

持ち物は、数珠、袈裟、線香、花、マッチかライター、清掃道具(手桶、柄杓、雑巾、タオル、ほうき、タワシ、ゴミ袋)です。墓参りに行けない場合も、ご先祖を想って手を合わせれば十分とされています。命日、正月、春秋のお彼岸、お盆のほか、進学や結婚などの節目にも参ることが勧められています。

お十念の唱え方

  • お十念は、「南無阿弥陀仏」を10回唱えることです。
  • 「ナムアミダブ」と8回唱え、9回目に「ナムアミダブツ」と「ツ」まで発音します。最後は「ナームアミダーブー」と、少し語間を伸ばして唱えます。
  • 8回を一息で続けるのがつらい場合は、「ナムアミダブ」を4回、一息入れてさらに4回唱え、その後は9回目と最後を同じように唱えます。
  • 菩提寺の住職が棚経やお墓参りで訪れたときは、いっしょにお十念を唱えます。

数珠

浄土宗では、輪を二つ重ねた二連の「日課数珠」を一般に用います。合掌するときは、親玉(少し大きな珠)が親指と人差し指の間にくるように二つの輪を手にかけ、房を胸側に垂らします。焼香などで合掌しないときは、左手首に掛けます。

この宗派だけをまとめたページは、浄土宗のページです。

浄土真宗の戒名・墓石・卒塔婆・参拝作法

浄土真宗は、親鸞の教えに基づく宗派で、「南無阿弥陀仏」の念仏を中心とします。戒名ではなく「法名」を用い、位牌や卒塔婆を用いない点など、ほかの宗派と大きく異なります。この記事では、浄土真宗の法名、墓石、設置物、参拝の作法をまとめます。

基本情報

念仏と聞法(教えを聞くこと)を大切にし、加持祈祷は行いません。真宗教団連合に加盟する十派と本山は、次のとおりです。

派 本山 所在地
浄土真宗本願寺派 本願寺(西本願寺) 京都市下京区
真宗大谷派 真宗本廟(東本願寺) 京都市下京区
真宗高田派 専修寺(高田本山) 三重県津市
真宗佛光寺派 佛光寺 京都市下京区
真宗興正派 興正寺 京都市下京区
真宗木辺派 錦織寺 滋賀県野洲市
真宗出雲路派 毫摂寺(五分市本山) 福井県越前市
真宗誠照寺派 誠照寺(鯖江本山) 福井県鯖江市
真宗三門徒派 専照寺(中野本山) 福井県福井市
真宗山元派 證誠寺(横越本山) 福井県鯖江市

法名の特徴

  • 「戒名」とは呼ばず、「法名」と呼びます。本願寺派の公式Q&Aは、「浄土真宗では『戒名』という言い方はしません」と記載しています。
  • 法名は、二字の名前に「釋」または「釋尼」を冠します。基本は、男性が「釋○○」、女性が「釋尼○○」です。位号は用いません。道号も用いません(高田派を除く)。
  • 法名は、帰敬式(おかみそり)を受けた人に授けられます。仏教徒としての自覚の証しとされています。帰敬式は、三宝に帰依し、真宗門徒として歩み出すことを誓う儀式で、本尊の前で「三帰依文」を唱え、剃刀を頭に3度あてます。実際に髪は剃りません。
  • 真宗大谷派では、2025年1月1日から、「釋」と「釋尼」を本人の希望で選べるようになりました。2025年以降の法名は、性別と「釋尼」が一致しないことがあります。

構成の詳細は、戒名・法名・法号の構成をご覧ください。

墓石に記されること

  • 「○○家之墓」ではなく、「南無阿弥陀仏」の名号、または『仏説阿弥陀経』の「倶会一処」を刻みます(真宗大谷派の案内)。墓が、仏の教えと呼びかけを聞く場となることを願ってのことです。
  • 本願寺派の案内でも、石碑(軸石)の正面に「南無阿弥陀仏」のお名号を刻むことが勧められています。
  • 墓石は、故人の霊を祀る「霊標」ではなく、「法名碑」とするよう述べられています。
  • 「吉日」の文字は刻みません。
  • 「○○家之墓」と刻む例は、浄土真宗の信徒の間では少数派とされています。

墓石の配置・構成の特徴

  • 墓に決まった形式はありません。建立前に寺院に相談するよう案内されています。
  • 観音像・地蔵像・宝塔は不要とされています。
  • 墓の方位、日の吉凶、風水は、仏教と関係のない迷信として、必要ないとされています(真宗大谷派)。墓相に惑わされないよう、本願寺派の案内にもあります。
  • 墓の大きさは重要ではなく、経済状況や土地に合わせて選ぶとされています(真宗大谷派)。
  • 納骨の時期に決まりはありません。本願寺派の案内では、満中陰(四十九日)か百ヵ日ごろが目安とされています。真宗大谷派は、多くの地域で四十九日の法要の後に納めるとしています。
  • 分骨は、禁じる理由がないとされています(本願寺派)。大谷派には、東本願寺(真宗本廟)への収骨や、親鸞の墓所である大谷祖廟(東大谷)への納骨があります。

卒塔婆・位牌など設置物の特徴

  • 卒塔婆:浄土真宗系は板塔婆を立てないとされています。先祖供養の教義がないため、五輪塔も用いないとされます。ただし、親鸞の妻・恵信尼の墓や、高野山の親鸞供養塔は五輪塔です。
  • 位牌:位牌は用いません。本願寺派の公式Q&Aは、位牌は中国の儒教に由来し、霊が宿るという意識が残るため用いないとしています。かわりに、法名を書いた「法名軸」や、過去帳を用います。過去帳は、法事のときに台にのせて、中脇壇か下段に置きます。高田派は、位牌を用いる例外とされています。
  • 線香・焼香:日常の線香は土香炉で、短く折って寝かせて燃やします。法事などの焼香は、フタ付きの金香炉を用います。

参拝の作法・唱える言葉

  • 唱える言葉:「南無阿弥陀仏」の念仏です。本願寺派の案内では、合掌するときは必ず声に出して念仏を申すとされ、「黙念」という作法はありません。
  • お墓の意味:真宗大谷派の案内では、お墓は、亡くなった方にお願いごとをする場ではありません。「南無阿弥陀仏」を称え、仏の教えを聞く場とされています。本願寺派の案内では、お墓参りは、亡き人の願いとはたらきを聞き、念仏を味わうことと説明されています。
  • 念珠:煩悩を滅する道具や回数を数える道具ではなく、阿弥陀仏に合掌礼拝するときの礼儀として用います。床や畳に直接置いたり、投げたりしないように注意されています。
  • 焼香:本願寺派では、お香をおしいただかず、回数は一回です。尊前で頭を下げ、香盒の蓋を取ってお香をつまみ、香炉に入れ、蓋をして合掌礼拝し、後退して一礼します。

先祖調査での見方

  • 位牌がなく、法名軸と過去帳がある家は、浄土真宗の可能性があります。
  • 墓石に、俗名ではなく法名が刻まれている場合は、法名から俗名を調べるために、過去帳や寺院の記録を確認してください。
  • 真宗十派のうち、どの派かによって、本山や位牌の扱いが異なります。菩提寺に派を確認してください。

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臨済宗の戒名・墓石・卒塔婆・参拝作法

臨済宗は、鎌倉時代の初めに栄西らが日本に伝えた禅宗の一つです。十五の派に分かれ、派ごとに本山があります。この記事では、臨済宗の戒名、墓石と墓塔、卒塔婆、お墓参りの作法をまとめます。曹洞宗は曹洞宗をご覧ください。

基本情報

項目 内容
日本での開祖 栄西。中国の臨済義玄を宗祖とします。
派と本山 建仁寺派(建仁寺)、東福寺派(東福寺)、建長寺派(建長寺)、円覚寺派(円覚寺)、南禅寺派(南禅寺)、国泰寺派(国泰寺)、大徳寺派(大徳寺)、妙心寺派(妙心寺)、天龍寺派(天龍寺)、永源寺派(永源寺)、向嶽寺派(向嶽寺)、相国寺派(相国寺)、方廣寺派(方廣寺)、佛通寺派(佛通寺)、興聖寺派(興聖寺)の15派です。
葬儀 故人を仏の弟子にするための式として、授戒・念誦・引導などで構成されます。

戒名の特徴

  • 呼び方は「戒名」です。
  • 院号を付けない場合が多く、院号の代わりに「軒号」を使う場合が多くなっています。大名家の信徒には、院殿号を用いることがありました。
  • 妙心寺派では、生前戒名は授与されません。戒名は、菩提寺の住職に相談するよう案内されています。
  • 位牌では、戒名の上に「空」の字を置きます。仮の位牌には「新帰元」と書き、本位牌で「空」に改めます。

構成の詳細は、戒名・法名・法号の構成をご覧ください。

墓石に記されること・墓石の構成

  • 禅宗では、五輪塔に、下から「地水火風空」の漢字を刻むことがあります。
  • 無縫塔(卵塔):卵形の塔身をのせた石塔で、禅宗とともに宋から伝わりました。高僧、特に開山の墓塔に用いられ、寺院の墓地に卵塔が並んでいれば、ほぼ歴代住持の墓とされます。建長寺の開山塔(蘭渓道隆の墓塔、1279年造立)が、その例です。
  • 生前に建てる墓(寿陵):戒名や建立者の文字に朱墨を使い、埋葬時に朱を落とす方法があります。墓石や墓誌の朱色・白色の使い分けについて、妙心寺派としての規定はありません。
  • 先祖代々の墓に入れる条件について、仏教や妙心寺派の規定はなく、菩提寺に相談するよう案内されています。

卒塔婆の特徴

臨済宗妙心寺派の法話では、お盆や施餓鬼供養で、新亡(前年の供養以降に亡くなった人)、先亡(先祖)、三界萬霊の卒塔婆を立て、供物を供える習慣があると説明されています。

参拝の作法・唱える言葉

  • 妙心寺派の資料では、自宅や菩提寺で法要が行われた後に、墓に参って故人の冥福を祈ります。
  • お盆の墓参りでは、花立に花を供え、水鉢に清浄な水を入れます。その後、蝋燭を灯し、線香を立て、墓前に手を合わせてお経を唱えます。供物は持ち帰るものが多いとされています。
  • 唱える言葉の細かな規定は、派や寺院によって異なります。菩提寺の住職の指導に従ってください。

先祖調査での見方

  • 院号がなく、軒号を使った戒名は、臨済宗の可能性があります。曹洞宗にも院号のない戒名があるため、決め手にはなりません。
  • 臨済宗は十五派あります。菩提寺の本山を、寺院に確認してください。

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曹洞宗の戒名・墓石・卒塔婆・参拝作法

曹洞宗は、道元が日本に伝えた禅宗の一つで、本尊は釈迦です。福井県の永平寺と、横浜市の總持寺を大本山とします。この記事では、曹洞宗の戒名、墓石、卒塔婆、お墓参りの作法、仏壇での唱え言葉をまとめます。

基本情報

項目 内容
日本での開祖 道元。中国では洞山良价と、その弟子の曹山本寂が祖とされます。
大本山 永平寺(福井県)、總持寺(神奈川県横浜市)
本尊 釈迦(釈迦牟尼仏)。道元と瑩山を合わせた「一仏両祖」の像を掛けることがあります。
お経 般若心経を中心に唱えます。修証義は、明治時代に『正法眼蔵』から文言を抜き出し、信者用に再編された書物です。
唱える言葉 「南無釈迦牟尼仏」

戒名の特徴

  • 呼び方は「戒名」または「安名」です。
  • 院号・道号・戒名・位号の順に付けますが、院号がない場合もあります。院号と位号は、没後に付けるのが通常です。
  • 曹洞宗の公式Q&Aでは、戒名は、戒を受けて仏弟子となった人が授かる名前で、住職から授けられるものとされています。自分で好きな名を付けるものではありません。戒名や葬儀の方法は、菩提寺によく相談するよう案内されています。
  • 葬儀社の紹介で別の僧侶に戒名を付けてもらった場合は、菩提寺に相談が必要になることがあります。

構成の詳細は、戒名・法名・法号の構成をご覧ください。

墓石に記されること・墓石の構成

  • 禅宗では、五輪塔に、下から「地水火風空」の漢字を刻むことがあります。
  • 寺院の墓地に卵形の無縫塔(卵塔)が並んでいれば、歴代住持の墓とされます。
  • 位牌では、戒名の上に「空」の字を置きます。仮の位牌には「新帰元」と書き、本位牌で「空」に改めます。
  • 菩提寺住職による葬儀を済ませ、戒名を授かっていれば、通常は問題なく納骨できるとされています。墓地の多くは、永代にわたる使用権で、土地は個人の所有地ではありません。

卒塔婆の特徴

曹洞宗の案内では、お墓参りのときに、古くなった卒塔婆は、手を合わせてから抜き取り、処分はお寺の指示に従うのが一般的とされています。卒塔婆の意味や形は、墓石の構成と卒塔婆・五輪塔をご覧ください。

参拝の作法・唱える言葉

曹洞宗の公式サイトに記載された、お墓参りの手順は次のとおりです。

  1. まず、墓石と墓地を掃除します。水鉢や花立など、汚れやすい部分は念入りに清めます。
  2. 古くなった卒塔婆は、合掌してから抜き取り、お寺の指示に従って処分します。
  3. 墓がきれいになったら、清らかな水、線香、故人の好物などを供えます。
  4. 僧侶に墓経を読んでもらうよう、お願いします。
  5. まごころをこめて、合掌礼拝します。
  6. 食べ物のお供えは、お参りのあとで下げます。

曹洞宗では、端坐、合掌、礼拝が基本です。家庭の仏壇では、合掌して、「南無釈迦牟尼仏」、または三帰依の「南無帰依仏、南無帰依法、南無帰依僧」と唱えます。墓参りの頻度は、命日、お盆、お彼岸などの定期的なお参りが勧められています。

差別戒名について

曹洞宗は、差別戒名の改正に取り組み、墓石と過去帳の改正状況を公表しています。先祖調査で見つけた戒名の扱いは、戒名・法名・法号の構成をご覧ください。

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日蓮宗の戒名・墓石・卒塔婆・参拝作法

日蓮宗は、日蓮を宗祖とする宗派で、「南無妙法蓮華経」のお題目を唱えることを重視します。戒名のことを「法号」と呼び、必ず「日」の字を含む日号が付く点が特徴です。この記事では、日蓮宗の法号、墓石、卒塔婆、お墓参りの作法をまとめます。

基本情報

項目 内容
宗祖 日蓮。鎌倉時代中期に宗旨を興しました。
総本山 身延山久遠寺(山梨県南巨摩郡身延町)
お題目 「南無妙法蓮華経」。「妙法蓮華経(法華経)に帰依する」という意味で、題目を唱えることを唱題と言います。
曼荼羅 中央に題目を大書し、周囲に釈迦如来・多宝如来などの諸仏・諸菩薩や諸天善神の名称を記したものです。
門流 宗教法人日蓮宗には、勝劣派・一致派などの門流が参加し、本尊や儀式の形式的な統一は行っていません。

日蓮を宗祖とする宗派は、日蓮宗のほかにもあります。日蓮正宗では、戒名(法号)の上に「妙法蓮華経」を置き、永代の位牌は作らず、過去帳に記録する、と位牌の項に記載されています。

法号の特徴

日蓮宗では、戒名を「法号」と呼びます。日蓮宗の寺院の案内では、法号は一般に9文字以上で、「院号」「道号」「日号」「位号」の順に並びます。

要素 内容
院号 「○○院」「○○院殿」。社会や寺院、日蓮宗への大きな貢献や篤い信仰があった人に贈られます。
道号 院号の次の2文字で、人柄や職業、趣味などを表します。男性は「法」、女性は「妙」の字を使うことが多く、「妙法蓮華経」の最初の二文字に由来します。
日号 法号の中心となる2文字で、必ず「日」の字を含みます。日蓮の弟子であることを示します。もう一字は、俗名から取るか、人生を象徴する漢字が用いられます。
位号 成人男性は信士・居士・大居士、成人女性は信女・大姉・清大姉の順です。子どもには童子・童女、孩子・孩女を用います。信士・信女が標準的で、居士・大姉は信仰が篤く、貢献が大きかった人に贈られます。

例は、「瑞雲院(院号)法道(道号)日長(日号)居士(位号)」です。位牌では、戒名(法号)の上に「妙法」を置きます。構成の詳細は、戒名・法名・法号の構成をご覧ください。

墓石に記されること

  • 正面:「○○家先祖代々之墓」と刻むことが一般的です。日蓮宗の檀家・信者の場合は、「南無妙法蓮華経」や「妙法○○家先祖代々之墓」とすることが望ましいとされています(日蓮宗ポータルサイトの案内)。
  • 側面か裏面:建立年月日、建立者、法号などを刻みます。
  • 五輪塔:上から「妙法蓮華経」の五字を刻むことがあります。

先祖調査では、側面や裏面の建立年月日、建立者、法号を必ず撮影してください。墓石の各部の名称は、墓石の構成と卒塔婆・五輪塔をご覧ください。

卒塔婆の特徴

  • 卒塔婆は、塔の形を模した板です。もとは、釈迦の遺骨(仏舎利)を納めた塔で、釈迦そのものとみなされてきました。
  • 日蓮宗の寺院の案内では、表に「南無妙法蓮華経」のお題目を書き、その下に、亡くなった方の法号またはお名前を書きます。裏には、釈迦の言葉や経文を書きます。
  • 法事のとき、またはお盆やお彼岸などの供養のときに立てることが、寺院から勧められています。申し込みの書式は寺院によって異なり、法要の日時、法号、申込者の氏名などを寺院に伝えます。

参拝の作法・唱える言葉

日蓮宗ポータルサイトのQ&Aに記載された、お墓参りの手順は次のとおりです。

  1. 花、ローソク、線香、供物、数珠を用意します。供物は故人の好物などがよいとされています。掃除道具が、お寺にある場合もあります。
  2. 墓石を水で洗い、雑巾などで拭きます。周囲の雑草やゴミも取り除きます。
  3. 掃除のあと、供物を供え、一人ひとり墓石に清らかな水をかけ、線香をともして合掌礼拝し、お題目を唱えます。
  4. 花以外の供物は持ち帰り、参会者でいただきます。

唱える言葉は、「南無妙法蓮華経」です。「南無」は帰依するという意味、「題目」は表題という意味で、妙法蓮華経(法華経)を指します。お題目を共に唱える修行を唱題行と言います。

先祖調査での見方

  • 戒名に「日」の字が入っていれば、日蓮宗系の可能性が高くなります。
  • 日号の一字は、俗名から取ることがあります。位牌や墓誌の法号から、俗名の手がかりが得られることがあります。
  • 日蓮系には複数の宗派があります。本山や宗派名は、菩提寺に確認してください。

この宗派だけをまとめたページは、日蓮宗のページです。

時宗・融通念仏宗・黄檗宗・南都系の宗派

時宗、融通念仏宗、黄檗宗、南都系の宗派(法相宗・華厳宗・律宗など)をまとめます。公式サイトとWikipediaで確認できた範囲を記載します。確認できなかった項目は、菩提寺に問い合わせてください。

時宗

項目 内容
開祖 一遍
総本山 清浄光寺(通称:遊行寺、神奈川県藤沢市)
念仏 「南無阿弥陀仏」。遊行上人が各地を巡って、念仏札を配る「賦算」や、「踊念仏」を行いました。念仏を唱えれば、信じる信じないにかかわらず往生できると教えます。
法名 古くは「阿弥陀仏」号を付けました。現在は、男性に「阿」号、女性に「弌」(いち)号を付けるのが原則です。一向派は、男女とも「阿」を用います。
墓塔 開祖一遍の墓塔は、五輪塔です。
寺院 26の教区に分かれています。広島県には8寺あります。沖縄を含む6県には寺院がありません。

清浄光寺(遊行寺)の概要は、清浄光寺(遊行寺)のページに記載しています。

融通念仏宗

項目 内容
開祖 良忍。天台宗の僧で、大原来迎院で修行中に、阿弥陀如来から速疾往生の偈文を授かり、開宗したとされます。
総本山 大念仏寺(大阪・平野)。1127年(大治2年)に良忍が開創したとされます。
念仏 「十界一念・自他融通の浄土往生を期する念仏(融通念仏)」。1人の念仏が万人の念仏に通じるという立場をとります。
日課 毎朝、西方に向かって融通念仏を十唱することが日課とされます。
偈文 「一人一切人 一切人一人 一行一切行 一切行一行 十界一念 融通念仏 億百万編 功徳円満」

融通念仏宗の戒名・墓石・卒塔婆については、今回確認した資料に記載がありませんでした。菩提寺に確認してください。

黄檗宗

項目 内容
開祖 隠元隆琦(1592〜1673年)。江戸時代の承応3年(1654年)に来日しました。
大本山 黄檗山萬福寺(京都府宇治市)
特徴 教義・修行・儀礼・布教は日本の臨済宗と異ならないとされます。読経は、近世中国語の発音(唐音、黄檗唐韻)で行われます。朝夕のお勤めや儀式作法に、中国由来の伝統が受け継がれています。
墓所 萬福寺には、宗派を問わず利用できる黄檗宗の墓苑があります。合同墓所「帰元墓 黄檗の碑」は、永代納骨専用の墓所です。

黄檗宗の戒名・墓石・卒塔婆については、今回確認した資料に記載がありませんでした。臨済宗と同様に禅宗の墓塔や位牌の様式が参考になりますが、臨済宗を参考にする場合も、菩提寺に確認してください。

南都系の宗派

宗派 本山 メモ
法相宗 興福寺・薬師寺(大本山) 日本への伝来は道昭とされます。1882年に興福寺・薬師寺・法隆寺の3寺が大本山となり、1950年に法隆寺が聖徳宗として離脱しました。
北法相宗 清水寺 1965年に独立しました。
聖徳宗 法隆寺 1950年に法相宗から離脱しました。
華厳宗 東大寺(大本山) 本尊は毘盧遮那仏です。審祥が736年に日本に伝えたとされます。
律宗 唐招提寺(総本山)、壬生寺(大本山) 鑑真を開祖とします。戒名は、戒名の下に「菩薩」の2字を付け、院号・道号・位号は用いないとされています。
真言律宗 西大寺(総本山)、宝山寺(大本山) 叡尊が西大寺から開きました。

先祖調査での見方

  • 男性の「阿」号、女性の「弌」号は、時宗の法名の特徴です。時宗の寺院は26の教区に分かれ、寺院のない県もあります。
  • 戒名の下に「菩薩」が付く場合は、律宗の特徴です。
  • これらの宗派の寺院は数が限られるため、先祖の菩提寺が見つかった場合は、寺院に過去帳の有無を問い合わせます。

この宗派だけをまとめたページは、時宗・融通念仏宗・黄檗宗・南都系の宗派のページです。

宗派が変わっていることがあります

現在の菩提寺の宗派と、数代前の先祖の宗派は、同じとは限りません。檀家になる寺院が変わったり、寺院が合併・廃寺になったりすると、宗派が変わります。墓石の戒名の様式と、過去帳に残る記載を、世代ごとに確認してください。

注意:差別戒名

江戸時代中期から昭和20年ごろまで、被差別部落の檀信徒に差別的な文字を含む戒名が付けられた例があります。墓石や過去帳でそのような記載を見つけた場合は、記載のとおりに記録するにとどめ、公開や取り扱いには配慮してください。詳しくは戒名・法名・法号の構成に記載しています。

参考資料

2026年10月24日に確認した内容です。宗派の中には、寺院・地域・時代によって扱いが異なる事項があります。先祖の墓や位牌について確認するときは、菩提寺または墓地の管理者に問い合わせてください。