真言宗は、空海(弘法大師)が9世紀の初めに開いた宗派で、本尊は大日如来です。分派が多く、高野山真言宗、東寺真言宗、真言宗智山派、真言宗豊山派などに分かれています。この記事では、真言宗の戒名、墓石と五輪塔、卒塔婆、唱える言葉をまとめます。

基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開祖 | 空海(弘法大師、774〜835年) |
| 本尊 | 大日如来。ほかの仏を排除せず、すべての仏は大日如来とつながると考えるため、寺院ごとの本尊はさまざまです。 |
| 主な派と本山 | 高野山真言宗(金剛峯寺)、東寺真言宗(東寺)、真言宗智山派(智積院)、真言宗豊山派(長谷寺)、真言宗醍醐派(醍醐寺)、真言宗御室派(仁和寺)、真言宗大覚寺派(大覚寺)、真言宗泉涌寺派(泉涌寺)、真言宗善通寺派(善通寺)、信貴山真言宗(朝護孫子寺)、新義真言宗(根来寺)、真言律宗(西大寺)など、真言宗十八本山があります。 |
戒名の特徴
呼び方は「戒名」で、院号・道号・戒名・位号の順に付けます。位牌では、戒名の上に、大日如来を表す梵字「阿」を置く例が位牌の項に記載されています。子どもの位牌には、地蔵菩薩を表す梵字「訶」を置く例も記載されています。構成の詳細は、戒名・法名・法号の構成をご覧ください。
墓石に記されること・墓石の構成
- 五輪塔:真言宗は密教の思想に基づくため、墓塔として五輪塔を建てることが一般的です。地・水・火・風・空を下から重ね、それぞれに梵字の種子(地輪「ア」、水輪「バ」、火輪「ラ」、風輪「カ」、空輪「キャ」)を刻みます。
- 五輪塔と覚鑁:真言宗の僧・覚鑁の『五輪九字明秘密釈』は、五輪を人の体になぞらえ、座禅の姿(入定)と解釈しました。墓塔として五輪塔が多く使われた背景とされています。ただし、同書が五輪塔の起源ではありません。
- 梵字:墓石の正面には、宗派の梵字を刻むことがあります。
- 五輪塔に刻む文字や梵字の有無は、塔ごとに異なります。
墓石の各部の名称や、墓塔の種類は、墓石の構成と卒塔婆・五輪塔をご覧ください。
卒塔婆の特徴
板塔婆は、五輪塔を模した形で、上から空・風・火・水・地の五大を表します。12世紀に密教と真言宗の教えが結びつき、五輪塔を建てる習慣が現れました。『餓鬼草紙』や『一遍聖絵』には、木製の五輪卒塔婆が描かれています。板塔婆には、梵字、名号、種字、戒名、俗名を書きます。納骨時に最初の卒塔婆供養を行い、以後は法要ごとに新しいものに替えます。
参拝の作法・唱える言葉
- 光明真言:真言宗では、光明真言に代表される真言や陀羅尼を唱えます。光明真言は、罪障の除滅や、亡き人に光明を及ぼして西方極楽に往かせる功徳が説かれる真言です。文言(智山派以外)は「オン アボキャ ベイロシャノウ マカボダラ マニ ハンドマ ジンバラ ハラバリタヤ ウン」です。智山派では「おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら まに はんどま じんばら はらはりたや うん」と表記され、唱え方が異なります。
- 御宝号「南無大師遍照金剛」:「大師」は弘法大師、「遍照金剛」はもともと大日如来を指します。この御宝号を唱えることは、弘法大師と大日如来の両方に帰依する意思を表します。智山派では、弘法大師と興教大師を祀る寺院で「南無大師遍照金剛」と「南無興教大師」を唱えます。
- 法事:豊山派は、法要で光明真言を唱えることを重視し、法事では檀信徒も一緒に唱えるよう勧めています。
- お墓参りの手順は、墓石の構成と卒塔婆・五輪塔の共通の流れに沿います。墓前の作法の細部は、寺院や派によって異なるため、菩提寺の住職の指導に従ってください。
先祖調査での見方
- 戒名の上の梵字、五輪塔の種子は、真言宗など密教系の手がかりになります。ただし、天台宗でも梵字を使うため、派や本山は寺院に確認してください。
- 真言宗は十八本山に分かれています。同じ真言宗でも、派によって光明真言の唱え方が異なります。
宗派と墓石のほかのページ
- 宗派の一覧と墓石・戒名の見分け方
- 墓石の構成と卒塔婆・五輪塔
- 戒名・法名・法号の構成
- 天台宗の戒名・墓石・作法
- 浄土宗の戒名・墓石・作法
- 浄土真宗の戒名・墓石・作法
- 臨済宗の戒名・墓石・作法
- 曹洞宗の戒名・墓石・作法
- 日蓮宗の戒名・墓石・作法
- 時宗・融通念仏宗・黄檗宗・南都系の宗派
参考資料
- 真言宗(Wikipedia)
- 戒名(Wikipedia)
- 五輪塔(Wikipedia)
- 板塔婆(Wikipedia)
- 位牌(Wikipedia)
- 光明真言(Wikipedia)
- 真言宗の教え(真言宗豊山派)
- 南無大師遍照金剛(真言宗豊山派)
2026年10月24日に確認した内容です。宗派の中には、寺院・地域・時代によって扱いが異なる事項があります。先祖の墓や位牌について確認するときは、菩提寺または墓地の管理者に問い合わせてください。


